心に響く言葉

2003年10月31日
TCと全然関係ないことも書いてみようかね。
過激な愚痴を期待してくれてる方には悪いが・・・w

一つ、私には自慢できる事がある。
ある人の「ブレイク」を予知したことがあるのだ

その人は、尾田栄一郎。

ジャンプで連載中の「ONE PIECE」の作者だ。

何年前になるだろうか。
彼がONE PIECEを書き始めるかなり前。
ジャンプに応募作品の中で優秀賞か何かを取った作品が、載っていた。
要するに彼のデビュー前の作品だ。

私はこれを見て、周りにいた友人に言った。
「この漫画家、多分化けるぜ?」

誰も信じなかったっけな。

線も丁寧とはいいがたいし、洗練された絵の漫画じゃない。
でも、登場人物が放つ「言葉」と、それに絡むストーリー。
これが、飛びぬけて力を持っていたように思う。

確か、こんな話だったと思う。かなり昔なんで多少美化が入ってるかもしれないが・・・

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妻や子供と別れた男が、広い家で一人ぼっちでクリスマスの夜を過ごしていた。
仕事に追われ、家庭を蔑ろにした結果だった。

すると、不意にドアがノックされる
ドアの前には青年と、4人の少女が居た。
青年は、「この子達を預かってください」と言い残し、彼女たちを残して去っていった。

急な事に戸惑いを隠せない男は、彼女たちを警察に預けようと電話の受話器を取った。
少女の一人が、泣きながら言った。
「いつもそう・・・クリスマスなんか、大っ嫌い」
男は、受話器を置いた。

男は、彼女たちから話を聞いた。

青年は自分たちの兄であり、「サンタクロース見習い」であること。
妹たちは、兄や祖父が「仕事」に出る間、ずっと家で寂しくクリスマスを過ごさねばならなかったこと。
今年、祖父が病気で倒れ、兄一人で仕事を全て果たさねば鳴らなくなったこと。
クリスマスには膨大な数の家を回らなければならないため、
家をかなりの間空けなければならない。
その間妹たちを置いてはいけないため、とりあえずどこかの家に預かってもらい
仕事が終わったら直ぐに迎えに来る予定だった事。

にわかには信じ難かった。
だが、男にはもう少女たちを追い出そうという気持ちは消えていた。


数年後、男は、4人の少女たちと、何度目かのクリスマスを過ごしていた。
男は彼女たちを自分の娘のようにかわいがり、彼女たちも男のことを「お父さん」と呼んでいた。

すると、あの日と同じく、ドアがノックされた。
少女の一人がドアを開けると、そこにはあの青年が立っていた。
「ごめん、仕事が長引いて来れなかったんだ。迎えにきたよ」
青年は嬉しそうに言った。
だが、少女たちはそれを拒絶した。
「帰らない。お兄ちゃんは勝手すぎる。今まで私たちを置いて何をしていたの?私たちよりそんなに仕事が大事なの?」

男の脳裏に、自分たちの妻や子供と別れたときの瞬間がフラッシュバックした。

青年は悲しそうな目をして、家を後にした。

男は、少女たちに言った。
「追いかけなさい」
「彼も、君たちと一緒にクリスマスをすごしたかったに決まってるんだ」
「彼を独りぼっちにしてはいけない。行きなさい」
男は、青年の姿に、かつての自分を重ね合わせていた。
彼には、自分が感じたような悲しさ、無念さを味あわせたくは無かった。
悲しい思いをするのはもう自分だけで十分だった。

彼女たちは、目に涙を浮かべ、男のほうを何度も振り返りながら、兄の元へと駆けて行った。
男は、安堵と寂しさが入り混じった目で、彼女たちを見送った。
(これで、良かったんだよな・・・・)
彼は、数分前まで自分の「娘たち」が居た居間へと戻った。


さらに数年後

男は、相変わらず一人ぼっちでクリスマスを迎えていた。
もはや寂しさにも慣れていたが、相変わらずクリスマスにはあの少女たちのことを思い返していた。

ドアがノックされた。
はっとしてドアを開けた。

4人の少女が笑顔で立っていた。

「お兄ちゃんに婚約者ができたから、邪魔者になるから出てきたの。また、預かってくれる?」

男は少女たちを抱きしめた。自分が最も望んでいた、最高のクリスマスプレゼントだった。涙が止まらなかった。

空を見上げると、彼女たちを送りに来た青年のソリが走っていた。

〜誰かのために手放した小さな幸せは、後にもっと大きな幸せとなって帰ってくるでしょう〜

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こんな感じだ。
短編集かなんかで出てるかもしれないが、情報ご存知の方、教えてください。


その漫画には尾田氏のインタビューも添えてあった。
「心に響く言葉を使うように心がけてます。」
「難しいことじゃないんです。「クサい」って意識を捨てればいいんです」
「照れくさいなんて思わずに、自分が書きたい事をストレートに言葉や物語にすれば、読み手の心を揺さぶる事ができる。」
「読み手の心を揺さぶって初めて感動してもらえるんだと思います」


この言葉、何年も経ってるが物凄く自分の中に根強く残ってる。

これの影響だろうか、私はこういう文書くときは、極力言葉を「オブラートに包まない」ようにしている。
嬉しいとき、楽しいときは使い慣れない顔文字や聞いてるほうが恥ずかしくなる言葉なんかも使って、
悲しいとき、むかついたときは放送コードに引っかかりそうな辛らつな単語なんかも使って、
自分の意志をそのまま言葉にしてぶつけている。

構文力やボキャブラリーが貧弱なので文としては支離滅裂だが、
その分、言葉に自分の感情を可能な限りこめるようにしている。
「くさい」「恥ずかしい」そういう感情を持ったまま文を書いても、その文は死んでる。

日記といえど、読み手が居るのだから「生きた言葉」をぶつけたい。
感想なんか無くてもいいから、ほんの少しでも読み手の心を揺さぶれるような文にしたい。

私がキーボード叩くときの、ポリシーです。

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